

こんもりとした線でたんたんと書かれており、クセとかインパクトとは無縁の静かな世界だ。
以前、全臨したのだが、復習のために今度は双鉤から行い、丁寧に習ってみようかと思う。
★王福庵(1880~1960)
原名は寿キ(示其)、のちシ(示是)と改めた。字は維季。福庵、印傭、羅刹江民などと号し、70歳以後は持黙老人と号した。浙江仁和の人。
読書人の家柄で、幼時より書、篆刻に親しむ。光緒30年、25歳の時には、丁輔之、呉石潜、葉三品らと共に、印学研究を目的として西泠印社を創設した。若い頃は、算術と測量製図の技術により鉄道部門に従事した。34歳の時に湖南、湖北省一帯を漫遊したのち、北京印鋳局の技師となり、兼ねて故宮博物院古物陳列所の鑑定委員を務める。50歳の時に南京印鋳局の技師となるが、翌年辞職し、上海に帰り、以後は書、印を売って生計を立てた。解放後は、浙江省文史館館員、上海国画院画師、中国金石篆刻研究社チュウ(竹冠に壽)委員会主任委員を歴任。1960年3月2日、上海の寓居において、81歳で逝去した。
篆刻は、古璽、漢印を範としながら、浙、鄧両派および、宋元の円朱文の表現をとりいれ、独自の温雅な作風を築いた。また印のたくみさのみならず、印文の選択、側款の文章も非常に気が利いている。また、篆、隷の書にもすぐれ、篆刻同様穏やかな作風である。
★説文部首
完本として伝わる最古の漢字の字書は、後漢の許慎が紀元100年に著した『説文解字』で、540の部首の下に9353字を収める。 『説文』所収の文字は全てこの540の部首のどれかか、その組み合わせによって成り立っている。つまり、この部首全てを覚えれば、すべての『説文』所収の篆書が読み、書けるという理屈になる。
《参考文献》
北川博邦他訳 『印と印人』 二玄社 1982
北川博邦監修 蓑毛政雄編 『王福庵印譜』 東京堂出版 1989
伏見沖敬他著 『書法Ⅱ』 角川書店 1994
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