2009年11月30日月曜日

河井荃廬 北魏風楷書印(模写)2

 これも荃廬が三井高堅のために刻したもの。


 「聴」の「耳」は前回の印のように「耳」+「ン」に作る他、「身」のように作ることもある。
 
 「氷」は「ン」+「水」の形が小篆に近い。「氷」は「ン」と「水」の第二画が合わさってできた形。

 「鑑」は隷書以来、「金」が下にくる形が併用された。

 
 「鑑蔵」とは鑑定し収蔵するという意味。明の大学士王鍪(ぼう)に「震沢王氏鑑蔵書印」があり、清では西泠八家のひとり黄易が、翁方綱のために刻した「覃谿鑑蔵」が有名である。翁氏がこの印を随所に用いて以後、一般に流行するようになったという。
《参考文献》
佐野光一 『収蔵賞鑑印』 東京堂出版 1992

2009年11月29日日曜日

河井荃廬 北魏風楷書印(模写)1

 篆刻家河井荃廬が、庇護者であった三井高堅(源右衛門)のために刻したもの。

 三井氏は中国古拓本の蒐集に力を注ぎ、金石に通じていた荃廬はその協力をするとともに、多くの印を刻している。
 これらの収集品は聴氷閣コレクションとして知られ、現在は三井記念美術館に所蔵されている。


 わが国で、北魏風の楷書を印に入れたのは荃廬が最初といわれおり、特に始平公造像風の住所印がよく知られている。

2009年11月24日火曜日

旧作と袴


 印譜を作るかたわら、旧作の整理をしている。袴のないものには新たに作ることにした。
 旧作の大半は、もう使うこともないのだけれど、自分なりにこだわって作ったものが汚れたり、傷ついたりするのを見るのも忍びないので・・・
 こうして見ると、ずいぶん丈の短い材が多い。節約して石を2~3等分して使ったからだ。
 いちいち石を切り、磨き、そこではじめて布字をする。そんな手間も妙に楽しかった。