
たいがい赤地に金文字で書かれるため派手派手で、いかにもオメデタイという感じなのだが、縁起物という俗っぽい性質をもつため、そこに書かれている文字(篆書が多い)は来歴不明のアヤシゲなものが大半を占める。
清朝の大儒、兪曲園(1821~1902)は、そんな俗臭のする「百寿図」に嫌気がさし、みずから漢印より百種の寿字をえらび、新たな「百寿図」を完成させた。各字の下に出典の印文をいちいち記しているあたり、学者らしい配慮がうかがわれる。
さて、前置きが長くなったが、その「百●図」のうちの「百福図」を印で作ってみようというのがタイトルの「百福印」である。
このような試みは、私が創始したわけでなく、中国の印人がよくやるようでネット上でも「百寿印」「百福印」の作品をいくつも見かける。
前々からやってみたかったのだが、百という数に尻込みしてなかなか手がつけられずにいた。しかし、多数の印を刻すことは刻技の向上にもつながるので挑戦することにした。
書体は篆書に限定することとした。篆書といっても甲骨文、金文、木簡、古璽、漢印、小篆等いろいろあるわけだが、手元にある資料では百種に満たない。寿字が漢印の文字だけで百種そろったのとは大違いだ。
しかしそこは「印」であるから、ひとつの字例でも、印文の朱白、輪郭の方円などを違えれば、数種の印ができる。まあ、そんな風にして百印を刻っていきたいと思う。
一番目は漢印風に。印材は1.8cm角。全印にわたって基本的に同大の材を使うことにする。
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